第7部~第10部「渡辺護が語る自作解説」(2)

第7部~第10部「渡辺護が語る自作解説」(2)

出演・語り:渡辺護
製作:渡辺護、北岡稔美、撮影:松本岳大、井川耕一郎、録音:光地拓郎、編集:北岡稔美、構成補:矢部真弓、高橋淳、構成:井川耕一郎
協力:渡辺典子、新東宝映画株式会社
太田耕耘キ(ぴんくりんく編集部)、林田義行(PG)、福原彰、旦雄二、東舎利樹

第7部『渡辺護が語る自作解説 緊縛ものを撮る(三) 権力者の肖像』(30分)
第7部で主に話題となる作品は日野繭子主演の『聖処女縛り』(79)。渡辺護によれば、『谷ナオミ 縛る!』(77)あたりから始まった緊縛ものというジャンルをつくりだす試みは、この作品で一区切りついたという。
また、『聖処女縛り』では、鶴岡八郎演じる特高の刑事を通して権力者の愚かさ、あわれさを描いたとも言い、モデルとなったある人物についても言及している。
第7部後半で語られるのは、80年代以後の緊縛ものについて。『激撮!日本の緊縛』(80)など、小水一男脚本で撮った緊縛ものの特徴について自己分析をしている。

第8部『渡辺護が語る自作解説 事件ものを撮る』(30分)
ある事件が世間を騒がせている間にさっさと映画にしてしまうというのは、ピンク映画が得意とするものだった。渡辺護もそうした事件ものを撮っているが、彼を衝き動かしていたものは「これは商売になる!」という勘だけではなかった。事件ものの背後には、人間に対するまっとうな関心があった。
第8部で取り上げる作品は、大久保清事件の『日本セックス縦断 東日本篇』(70)、大阪「クラブ・ジュン」ホステス強姦殺人事件の『十六才 愛と性の遍歴』(73)、勝田清孝事件の『連続殺人鬼 冷血』(84)の三本。
この他にも、渡辺護は女子高生誘拐監禁事件の『16歳の経験』(70)、立教助教授教え子殺人事件の『女子大生性愛図』(74)といった事件ものを撮っている。

第9部『渡辺護が語る自作解説 新人女優を撮る』(30分)
「スクリーンに演技力など映らない。映るのは存在感だけだ」と渡辺護はよく言っていたが、この言葉は魅力的な新人女優を撮ったときの経験に基づいている。
第9部で言及される主な作品は、東てる美の『禁断性愛の詩』(75)、美保純の『制服処女の痛み』(81)、『セーラー服色情飼育』(82)の三本。渡辺護が新人女優を撮るよろこびを時にあきれてしまうくらい生き生きと語っている。
渡辺護の新人女優に対するこだわりは、監督第二作『紅壺』(65)から始まる。おそらく、主演の真山ひとみを撮っているときに感じた恋愛感情すれすれのよろこびがいつまでも忘れられなかったのではないだろうか。

第10部『渡辺護が語るピンク映画史(補足) すべて消えゆく ピンク映画1964-1968』(30分)
当初、第10部は初期作品の自作解説篇とする予定だったのだが、ラッシュを見直すうち、考えが変わった。渡辺さんは自作よりも初期のピンク映画の現場にいたひとたちについて語りたかったのではないか……と思えてきたのだ。
第10部で、渡辺護は助監督時代、新人監督時代に出会ったひとたちのことを語っている。南部泰三、関喜誉仁、竹野治夫、遠藤精一、栗原幸治、山下治――彼らは、若松孝二、向井寛、山本晋也といったひとたちと比べると、ピンク映画史的にはそれほど重要ではないかもしれない。けれども、彼らが現場にいて働いていたことは事実なのだ。
すべては消えゆくかもしれないが、渡辺護はそれに逆らうようにして自分の体が記憶していることを語っている。

(井川耕一郎)