ピンク映画50周年記念作品『色道四十八手 たからぶね』(企画・原案:渡辺護)+特集上映「渡辺護 追悼、そして「たからぶね」の船出」(10月4日からユーロスペースでレイトショー 連日21:10~)

10月4日からユーロスペースで、ピンク映画50周年記念作品『色道四十八手 たからぶね』(企画・原案:渡辺護、主演:愛田奈々、監督・脚本:井川耕一郎)がレイトショー公開されます。
また、同時期に「渡辺護 追悼 そして「たからぶね」の船出」というタイトルで渡辺護監督特集もあります。

≪ピンク映画50周年記念作品『色道四十八手 たからぶね』≫

『色道四十八手 たからぶね』公式サイトはこちら↓

25年に渡りピンク映画専門誌の発刊、ピンク映画のアカデミー賞といわれる〈ピンク大賞〉を主宰する「PG」と、関西を拠点に月刊でフリーペーパーの発行やイベントを企画する「ぴんくりんく」――二つのピンク映画ファン有志のグループが、2012年に〈ピンク映画五十周年記念映画〉を企画し、2013年秋に渡辺護に監督を依頼。

快諾した渡辺は、「四十八手」「春画」という日本独特のエロティシズムを題材にした脚本で、新たなピンク映画のスタンダードを作ることを宣言し、準備に入った。
ところが、2013年11月に外出先で倒れ、検査の結果、がんであることが判明。自宅療養中の12月24日に亡くなる。
「井川が監督し、映画を完成させろ」という渡辺護の遺志を受け、脚本の井川耕一郎が監督し、2014年3月に『色道四十八手 たからぶね』は完成。
10月4日(土)からユーロスペースでレイトショー公開されることになった。

『色道四十八手 たからぶね』(2014年・71分・35mm・R18)
出演:愛田奈々、佐々木麻由子、ほたる、岡田智宏、なかみつせいじ、野村貴浩
企画・原案:渡辺護 監督・脚本:井川耕一郎 撮影・照明:清水正二
製作・配給:PGぴんくりんく

物語:一夫(岡田智宏)は千春(愛田奈々)と結婚し、幸せの絶頂にいた。ところが、千春には別の顔があった。彼女は数年前から叔父の健次(なかみつせいじ)と不倫していたのだ。「復讐しよう!」と一夫に訴える叔母の敏子(佐々木麻由子)。でも、一体どうやって……? 二組の夫婦をめぐる愛と欲望を軸に、シュールな味わいたっぷりに人間の本質をユニークに浮かびあがらせた作品。

≪特集上映 渡辺護 追悼 そして「たからぶね」の船出≫

<高橋洋(映画監督・脚本家)コメント>
まるでサイレント時代の巨匠、伊藤大輔と競い合って撮っている人のように思えた。渡辺護の映画には、彼の原体験である活動大写真の興奮が息づいていたからだ。それは決して懐古的なものではない。常に“現在であり続ける表現”として、渡辺護はサイレントと向かい合っていた。渡辺護の映画がオリヴェイラ同様刺激的なのはそれ故なのだ。

<塩田明彦(映画監督)コメント1>
人間というのは“呼吸”する生き物であり、その“呼吸”のかたちも千差万別、実に複雑微妙なドラマが演じられているのだ、ということに渡辺護監督は気付いていたし、ときにその一瞬を捉えるために足の指先を撮り、瞼の震えを捉え、そこから漂う熱気と狂気を映画的な運動に仕上げた。誰かがそこに生きている、そのことを確かに世界の震えを通して私たちに届けてきた。

<塩田明彦(映画監督)コメント2>
(『害虫』(02)に浮浪者役で出演してもらったときの思い出)
「悪いな塩ちゃん、俺いま心臓が悪いから」。少し気弱そうに車から降りてきた渡辺護監督は、しかし私の袖を掴んで離さず、いきなりキュウゾウ相手に叫ぶ台詞をその場で張り上げた。塩田わかるか、人間てのはな、その声と呼吸ひとつで生き様ってのがみえちゃうんだ。映画『害虫』の中に映し出された渡辺監督はその表情も遠いロングの移動ショットの中で、しかしまさに生き様としか言いようのない見事な声で、そこに存在してくれたのでした。

<作品紹介>

『紅壺』(1965年/扇映画)
78分/モノクロ/スコープ/デジタル上映
脚本:吉田貴彰(吉田義昭)、撮影:大森一郎(門口友也)
出演:真山ひとみ、原あけみ、黒木純一郎、千田啓介
少女は男たちを利用してトップモデルを目指す。渡辺護は主演の真山ひとみに一目惚れ。映画を撮る歓びに恋する歓びが加わった初々しい監督第二作。結局、失恋したものの、渡辺は東てる美、美保純、可愛かずみと魅力的な新人女優を撮ることにとり憑かれていく。

『おんな地獄唄 尺八弁天』(1970年/わたなべプロ)
70分/パートカラー/スコープ/デジタル上映
脚本:日野洸(大和屋竺)/撮影:池田清二
出演:香取環、国分二郎、青山リマ、武藤周作
女渡世人・弁天の加代シリーズの第二作。背の刺青に衝き動かされるようにして加代とセイガクは出会い、運命的な恋に落ちる。「大和屋のホンを初めて読んだときには震えたね。おれへのラブレターですよ」。少年時代から好きだった時代劇への思いがあふれた傑作。

『(秘)湯の町 夜のひとで』(1970年/わたなべプロ)
70分/パートカラー/スコープ/デジタル上映
脚本:日野洸(大和屋竺)/撮影:池田清二
出演:大月麗子、吉田純、二階堂浩、港雄一
さすらいのエロ事師を描く系列の代表作。温泉街に流れ着いた久生と雀。監督の久生はブルーフィルムの傑作を撮ろうとするが……。愛する久生と離れ離れになった女優の雀がぼろぼろになって早朝の川原にたたずむラストには、悲哀を突き抜けた崇高さが感じられる。

『聖処女縛り』(1979年/新東宝)
61分/カラー/スコープ/デジタル上映
脚本:高橋伴明、撮影:鈴木史郎
出演:日野繭子、岡尚美、鶴岡八郎、杉佳代子
1970年代後半から量産された緊縛ものの代表作。恋人を射殺した特高の刑事に少女は復讐しようとする。『少女縄化粧』(79)と本作で主演の日野繭子の人気は決定的なものに。渡辺護は自分の愚かさに気づかない権力者の哀れなあり方を描きたかったと後に語っている。

『婦女暴行事件 不起訴』(1979年/国映)
61分/カラー/スコープ/35mm上映
脚本:小水一男/撮影:久我剛
出演:日野繭子、青野梨麻、港まゆみ、大杉蓮
ドキュメントタッチの系列の隠れた傑作。雨が降り続ける荒涼とした横須賀で、三人の若者は暇を持てあましレイプをくりかえす。事後の被害者女性の態度を丁寧に描き分ける演出に注目。女優一人一人に対して印象に残る見せ場をつくることを渡辺護は忘れていない。

『喪服の未亡人 ほしいの…』(2008年/国映=新東宝)
61分/カラー/ビスタ/35mm上映
脚本:井川耕一郎/撮影:清水正二
出演:淡島小鞠、岡田智宏、倖田李梨、結城リナ
遺品整理をしていたいずみは夫の不倫を疑う。「殺してやる! 死んでるけれど」。死者に復讐しようとする女の悲喜劇。渡辺はこの路線で新作『色道四十八手 たからぶね』を準備していたが、昨年亡くなった。骨壷を抱いて別れの言葉を述べる淡島小鞠が心にしみる。

<スケジュール>

ユーロスペースにて連日21:10より上映

10月4日(土)~10日(金):『色道四十八手 たからぶね』

10月11日(土):『おんな地獄唄 尺八弁天』+ドキュメンタリー『弁天の加代を撮る』
10月12日(日):『(秘)湯の町 夜のひとで』+ドキュメンタリー『エロ事師を撮る』
10月13日(月):『婦女暴行事件 不起訴』+ドキュメンタリー『事件ものを撮る』
10月14日(火):『聖処女縛り』+ドキュメンタリー『緊縛ものを撮る 三 権力者の肖像』
10月15日(水)『喪服の未亡人 ほしいの…』+ドキュメンタリー『すべて消えゆく ピンク映画1964-1968』
10月16日(木):『おんな地獄唄 尺八弁天』+ドキュメンタリー『弁天の加代を撮る』
10月17日(金):『紅壺』+ドキュメンタリー『新人女優を撮る』

10月18日(土)~10月24日(金):『色道四十八手 たからぶね』

10月25日(土):『婦女暴行事件 不起訴』+ドキュメンタリー『事件ものを撮る』
10月26日(日):『喪服の未亡人 ほしいの…』+ドキュメンタリー『すべて消えゆく ピンク映画1964-1968』
10月27日(月):『(秘)湯の町 夜のひとで』+ドキュメンタリー『エロ事師を撮る』
10月28日(火):『おんな地獄唄 尺八弁天』+ドキュメンタリー『弁天の加代を撮る』
10月29日(水):『聖処女縛り』+ドキュメンタリー『緊縛ものを撮る 三 権力者の肖像』
10月30日(木)『紅壺』+ドキュメンタリー『新人女優を撮る』
10月31日(金):『(秘)湯の町 夜のひとで 』+ドキュメンタリー『エロ事師を撮る』